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情報系論文執筆チェックリスト

論文の執筆は大学院生(学部生もそうですが)が避けて通れないものです.
自分のため,同じ境遇の大学院生のために論文執筆時にチェックしておくべき事項をまとめておきます.
この時期の風物詩である(?)卒業論文修士論文の執筆前にチェックしてみるものいいかもしれません.

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以下は筆者の経験をもとにリストアップしたものなので, 書いてあることが正しいとは限りませんし,これをチェックすれば大丈夫というものでもありません
初歩的な内容もかなり含まれています.(卒論生にはいいかも!)
また,筆者は情報系の大学院生です.
分野が違えば論文のお作法も当然違ってきます
以上の点を踏まえた上でご覧くださいm(__)m

はじめに:論文の書き方

情報系論文の書き方は以下のページが非常に参考になります.

では,以下チェックリストです.

可能な限り根拠となる文献を引用する

自身にとっては既知である事実を,論文中に「◯◯は××であることが知られている.」のように書いたとします.
しかし,これを読む人は信用するでしょうか?
その分野において広く知られている事実であれば問題ないかもしれませんが,大抵の場合は根拠を示さなければ読み手は信用してくれません.
根拠となる参考文献があるなら必ず引用するべきです.

引用時の著者名の書き方

日本語の場合

  • 著者が1人:◯◯ [1] は■■を提案した.
  • 著者が2人:◯◯と×× [1] は■■を提案した.
  • 著者が3人以上:◯◯ら [1] は■■を提案した.

英語の場合

  • 著者が1人:◯◯ [1] proposed ■■.
  • 著者が2人:◯◯ and ×× [1] proposed ■■.
  • 著者が3人以上:◯◯ et al. [1] proposed ■■.

どの式や図を参照しているかを明らかにする.

×:以上より,次式が成立する.
×:以下の図は■■を表している.

◯:以上より,式(2)が成立する.
◯:図3は■■を表している.

日本語論文の場合は外来語を極力避ける

そのまんまですが,あまりにもカタカナが多いと拒絶反応が出るようです.
英語表記のままは極力避け,日本語に訳せる場合は訳した方がいいです.

評価実験の章より前では現在形

AbstractやIntroductionなどのような,評価実験より前の章で実験結果や結論的なことを述べる場合は,現在形を使うのが通例です.
一方で,評価実験以降の章では過去形を使います.

評価実験より前:正確に分類できることを示す.
評価実験より後:正確に分類できることを示した.

モノクロ印刷でも問題ないようにする

読み手はカラー印刷するとは限りません.
特に図表は注意が必要です.
色でカテゴリなどを分けてしまうと,モノクロ印刷した時に意味不明になります.

TeX関係

図はベクター形式のものを使用する

図に用いるのはベクター形式(eps, pdfなど)の画像にしないと,拡大時に荒くなってしまいます.
ビットマップ形式(jpg, pngなど)はNGです.
ビットマップ形式の図をベクター形式に変換するのもNGです.

ちょっとした図を描く時はPower Pointで描き,ベクター形式に変換するといいです.
(方法はググればいくらでも出てきます)

Bibファイルのtitleは中括弧{ }で囲っておく.

囲った部分はその表記の通り出力されるようになります. 囲ってないと勝手に小文字になったりして不都合なので,特に理由がない限りは囲っておくべきです.

title={{論文のタイトル}}

英数字の後の半角括弧の前に「~」を入れる

「~」(チルダ)は半角スペースの意です.
半角スペースそのものを入れても構わないのですが,チルダにすることで,半角括弧の前後で改行されることがなくなります.

× Tom[2]は■■であることを示した.
◯ Tom~[2]は■■であることを示した.

複数文献引用時は\cite{a,b}

複数の文献を引用する場合は,\cite{a},\cite{b}ではなく\cite{a,b}のように書きます.
また,複数引用する時の順番は数字の昇順になるようにします.

数式を描く時に余計な行間を空けない

数式を書く時に一行空けると,新しい段落と解釈されて余計なスペースが空いてしまいます.

NG

... 以下の式 (3)のように,

\begin{eqnarray}
a=b+c
\end{eqnarray}

OK

... 以下の式 (3)のように,
\begin{eqnarray}
a=b+c
\end{eqnarray}

日本語表現について

接続助詞の「が」は使わない

接続助詞の「が」は,順接にも逆接にもなり得るので文意が曖昧になります.
原則として使うべきではないです.

無くても意味が通る接続詞は使わない

不必要に接続詞を使いまくると読みにくくなります.
無くても意味が通る接続詞はなくした方が簡潔で良いです.

表記ゆれを極力なくす

同じ意味を表す表記はなるべく統一するようにするべきです.
表記が複数あると読み手は混乱してしまいます.

その他諸々

  • 日本語論文ではイタリックはNG(太字・下線はOK).
  • 英数字は半角にする.
  • 句読点は「,」「.」を使う.
  • 数字は3桁毎に「,」で区切る.
  • 図表のキャプションの中で改行しない.
  • キャプションにも句点を入れる.
  • 日本語論文の場合は括弧 ( )は全角.
  • 「?」や「!」は使わない.
  • 「実験1」「実験2」のようなセクションタイトルやキャプションはNG.
  • 数式参照時は「式 (1)」のように括弧 ( ) を付ける.
  • ダブルクォート使用時は,``example''のように半角の「`」か「'」を2つ続けて書く.